2013年8月 一覧

みんな、よくできました!

日曜日に、『信州の工芸家展 ~4人の作家の表情~』が開催中の
「世界の民俗人形博物館」にてワークショップをしてきました。

夏休みらしい暑い日が続く中、元気な子供たちが集まってくれました。
僕は前回のワークショップが時間ギリギリになってしまった反省を生かして、
時間内に終るように影山と作業の分担とスケジュールを見直してきました。

ではでは今日も朝から頑張っていきましょう!

木の色や樹齢のこと、寄せ木の作り方などを説明してから作業に入ります。


まずは糸のこ、経験のある子がいなかったのでマンツーマンです。

やっぱりこれが難しいみたい、学校の授業に糸のこをぜひ復活して欲しいです。


お母さんたちもアクセサリー作りに参加してもらって、
みんながもの作りモードのスイッチが入ってきました。

だんだんとヤスリの番手を上げていき、形が整い、
小さな傷が消えていくと作品が輝きはじめます。

塗装のオイルが染み込んで、木の表情が鮮明に浮かび上がると、
今日一日の頑張りが報われますね!


結局、閉館ギリギリの時間までかかってしまいましたが、
その分みんなよい作品になりました。

これまでの4回のワークショップで分かってきたのが、
とにかく僕と影山があきらめないこと、
絶対みんなよい作品ができると信じているのが大事だということです。
言い換えるとよい作品を作る場の雰囲気をつくるということなのかな。
人に教えるってたぶんそういうことなんだろうと思いました。

木はどんなに磨いても、宝石や金属のように誰もが分かるきらきらとした輝きは持ちません。
だけど自分で磨いた木のきらめきは特別なものがありますね。


「普遍的な美」なるものがあるのか、あるいはないのか、
僕には今だ分からないのだけれど(まぁそれはそれで追い求めるとしても)、
何を美しいと思うかは結局のところ人それぞれで、
その何かは見てきたもの経験してきたことでつくられていくんだろうと思います。
木の美しさが少しでも伝わっていったなら嬉しいことだなと思います。

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伐木造材講習。

先日、林業センターに伐木造材講習に3日連続で行ってきました。
伐木とは立木を切り倒すことで、
造材はトラックなどに積む前に枝を払い、用途に合わせた長さに切ることです。
主にチェーンソーで作業を行うので、
その構造やメンテナンス、安全な使い方の講習を1日しっかりと受けます。
その後2日間で実際に木を切り倒すところまで作業講習しました。


いきなり立木は切れないので、前の講習で造材してあった木を使って、
チェーンソーの基本的な切り方を教わります。

木を切り倒す手順は、まず木を倒す方向を決め、
その方向に向かって「受け口」と呼ばれる切り込みを入れます。
パックマンの口みたいに三角形に切ります。
木はほぼ正確に受け口の方向に倒れるので、慎重に位置を決め切り込みます。
次に受け口の後ろから「追い口」と呼ばれる切り込みを入れていき、
完全に切り離さない所で止め、クサビを打ち込んで倒します。

古い切り株でも練習をして、午後はチェーンソーの刃を研ぎ直しました。

次の日、実際に立木を切り倒します。
影山が「追い口」を入れているところです。

切る人以外は切り倒す反対方向の退避区域で待機しています。

追い口にクサビを打ち込んでいきます。

写真の奥側が「受け口」で手前が「追い口」の切りあとです。
先生が指差しているところが「つる」と呼ばれる切らずに残しておく部分。
木の直径の10分の1程度の「つる」を残すことで、
木がゆっくりと正確な位置に倒れてくれて、切り倒す人の安全が確保されます。

クサビを入れ、木が「ミシッミシッ」と音を立てながら動きだし、
「ズド~~~~ン~~~ンン・・ン・・・」と深い音が森に響き渡ります。

「受け口」「追い口」「つる」の3つの構成は、
日本では1000年くらい前には既にあったとかで、
実際に切り倒して正確に木が動くのを体験すると「知恵だな~!」と感心してしまいました。

もうけっこう長いこと「木の仕事」をして来ているのだけれど、
初めて木の命をもらう瞬間を自分の手で体験できたことは貴重だなと思いました。
「ズド~~~~ン~~~ンン・・ン・・・」
この音をかすかでも響かせられるような作品を作っていけたら、せめてもと思います。

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